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終末期の支援を通じて

先月末に、ある入居者さんが最期を迎えられました。
最後までとてもしっかりされている方で、とても学ぶことが多い方でした。昨日、ご家族よりお供え物をいただき、職員一人一人にとても丁寧なごあいさつ、感謝の言葉をいただきました。居室で迎えた最期の場面に、数日間続けて寄り添ったご家族が一緒にいてくださったことが幸いでした。

ガン末期が宣告されたのは8か月前。90歳を超えられてましたが、ご自身の状況をしっかり把握され、痛みや苦痛と向き合う8か月でした。
介護付きホームという生活の場で、支援させてもらう我々職員一同も、日々どのように寄り添えばよいのか悩む毎日でした。

夜間、痛みや症状が強くなり、どうしようもない不安にさいなまれましたが、ご本人の苦痛はそれ以上で、どれだけ辛い状況だったか想像に堪えません。
医療の限界があり、職員同士意見がぶつかったり、多職種で議論が続いたり、ご家族に何度も判断をゆだねてしまうような厳しい場面もたくさんありました。それほど「死」が近づき、それに寄り添うことに真剣に向き合ってきたからだと思います。反省すべき点はたくさんあり、終末期、そして緩和ケアの難しさを肌で感じる毎日でしたが、ご本人と最後まで意思疎通ができたことで、本当に多くの学びを得ることになったと思います。

最期を迎える前日、ちょうど同じ時間に、その方が得意だった料理づくりしました。このHPでも何度も記事にした「秘伝のタレ」づくりです。
カレンダーに8/30(金)16:00~「タレづくり」と記し、暑く辛い8月でしたが、「タレづくりまで頑張らな」と励まし続けました。
料理作りは、ベッド上になってしまいましたが、多くの職員、そして夏休みの学生さんまでおしかけ、秘伝のタレづくりを教えてもらいました。
最後まで目分量で、レシピが作れない調理で、味見をして納得するまで時間がかかりましたが、ベッド上でしっかり指示してくれました。

亡くなったのは8/31(土)17:00すぎ。昨日の、味見して納得した時のような穏やかな表情でした。
ご本人、ご家族に心より感謝申し上げます。
今後も介護付きホームは、生活の場として、ご本人の穏やかな顔や、ご家族の感謝が得られるような支援を目指し、日々勉強させていただきます。


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